ひさしぶりに兄弟子のK氏と朝稽古でごいっしょする。
自分よりも修業の進んだ方と稽古すると本当に勉強になる。
五本目「袈裟切り」で切り上げた後、柄を返して切り下ろす手の内の指導をしていただいている時にY先生が仰った言葉が印象に残る。
「ぎゅっと柄を握ったまんまだからちゃんと刀が返らないんです。
もっと手の中で遊ばせなさい。」
「刀に振り回されてちゃだめ。ちゃんと遣ってあげればできるの。自分が刀を遣わなければならないんです。脳から指示を出す通りに遣ればいいの!」
『刀って正直なんですよ!』
はい!先生。。
このお言葉…本日の師匠の名言としてブログに書くようにK氏に申し付けられ候。ゆえにココに記しますル。
本日も実りの有る稽古をさせていただけたことに感謝いたします。
本日の稽古
今日の朝稽古では基礎稽古で切り下しと足さばきのまずさをチェックしていただきました。
小指にチカラを入れれば振りかぶった時に切っ先が後方にさがりすぎない。
もっと肩の力を抜き肚に意識を置きながら振りかぶりと切り下しのタイミングを同じにするように意識すること。
着地している足を踏ん張るようにして力をいれるのではなく太腿の内がわをひきしめるようにするとヘソも前を向き下半身も安定する。
制定の通し稽古では九本目を重点的に見ていただく。
まだまだ下半身が弱いと自分でも自覚できる。
対面稽古
稽古熱心な新人のOさんが入門されて、最近では朝稽古でいっしょになることが多い。
この方は役者をされていて、演技に役立つよう殺陣のセンスも磨きたいということで居合を習いはじめられたらしい。
自分より歳はひとつかふたつ上なのだそうだ。
Y先生が「最初に会った時の印象があなたと似てたのよ♪」そう仰ってましたが、でも僕よりずっと若作りなのだ。
さすがは役者である。
Y先生が僕ら二人を向かい合わせ、僕の演武がOさんの刀を抜くタイミングや間合いなどの見本になるように、同時に同じ技を稽古させる。
「ホントに相手を斬る気魄で刀を抜きなさい。」Y先生のお言葉。
『はい!じゃあ殺すつもりでいきます!!』って、おいおい… 滝汗
目つきもするどく変わり、前つんのめりぎみではありましたが、気の入った抜きつけに正面に対座する自分は思わずのけぞってしまう。
ムムム…さすがは役者である。
『教えることは学ばせていただくこと。学びあいなのよ♪』
Y先生の深イイお言葉。
お互いによく学びあえるよう今後も稽古に精進する所存です。
第48回東京都居合道大会に出場
桜も散り4月も半ばを過ぎたというのに雪が積もった日でした。
近頃の大会では勝ち負けにこだわる良くない傾向がある。
居合とはそういうものではないのですよと大会開始あいさつのお言葉にもありました。
でも、負けました。…いいえ、自分の未熟さに負けました。
そして、大会では良い結果は出せませんでしたが、良い学びを多々得ることができました。
大会用の晴れ着仕様の居合道着とふだんの稽古では着用しないお気に入りの特製の帯での大会出場でしたが、帯に刀を差すが鞘さばきが固くてすんなりできないのが気になっていました。
初っぱなの袴捌きでも普段通りにいかず、最初の技の出だしから袴に足がひっかかってよろけそうになりました。
納刀時の鞘引きでも普段通りに鯉口に刀の切っ先を寄せることができず演武にも焦りが出てしまったのだと、思う。
その後はふだんの稽古通りに体に染み込んだ動作を再現できるよう、気を入れて演武できるように集中しました。
ちゃんと直前の稽古は大会用の着装ですべきだなと反省しました。
言い訳はこれくらいにしておきます。
気剣体一致のみだれは審査員の先生方に瞬時に察知されます。
善くも悪くも普段の稽古が出る、あらゆる事態を想定しベストな状態をめざして用意周到にそなえる、今回の大会ではそうことがとても大事だといっそう自確することができました。
もっと稽古に励もうというモチベーションも高まりました。
同門の兄弟弟子の中では三段のI氏と二段のK氏が敢闘賞を受賞されました。
おめでとうございます。
帰途中、ひょんなこと(高速道の車線変更まちがい・笑)から運転して下さったI氏のお計らいということで、人でごったがえした休日の渋谷や代々木競技場のまわりを周遊できるというサプライズな観光も楽しませていただきました。
同乗されていたY師匠やアメリカ人のDさんも休日の渋谷の人の多さに驚いていました。
おかげさまでちょうど良く予約されていた時間に居酒屋に到着できました。
あえて内容は語りませんが、大会後の打ち上げは盛り上りました。
師匠と兄弟弟子みんなで、居酒屋の貸し切りの座敷で、とにかく大笑いしました。
こんな素敵な師と兄弟弟子の方々とごいっしょできることが本当に嬉しく感謝の気持ちでいっぱいです。
自分の詰めの甘さが露呈し学びも多かった大会でした。
このままでは終わりません。
重々分かっていても、それをそのまま放っておくのは自分の弱さ。
克服すべき点が見えているのなら改善するのが前向きなやりかたというもの。
キャパを超えたことをすれば確かに自分に跳ね返ってきますが、ちょうどいい加減を知り、その負荷も自分の耐性を高めるものと自覚できるなら、頑張るべきだと。
『頑張る』という言葉は最近はデリケートにあつかわれる言葉のようですが、あえて言ってみたい言葉です。
自分に負荷をかけて頑張ってみようと静かに思えました。
もっと自分の弱さと向き合って克服の努力につなげられる稽古にしよう。
稽古でのチェックポイント
本当に有り難いことです、このようにご指導いただけることを心から感謝します。
基礎の大切さ、着眼点を持って稽古することの大切さ、そして…
初発刀をのぞく古流の稽古封印を言い渡されたのも、まずは自分にやりやすいようにつけてしまった、変なクセを今のうちに直してからということの意味を思い知りました。
大会前に迷いのあるまま闇雲に稽古をするよりも、冷静にムービーで自分のクセを確認し、自分のウイークポイントの研究ができてよかった。
◇今後の稽古で修正すべきチェックポイント
◯あらためてムービーを見て演武の間の悪さに気付く。
・水の流れのようなよどみない一連の動作となるよう技を磨く。
・各技の理合にかなった無駄の無い間のとり方を身につける。
◯肩の力を抜く、そして前屈み気味なのでとにかく意識してムネを開くこと!
・肚(丹田)に意識を置き、腹をひっこめながらみぞおちからつりあげるようにしてムネを開く。
・クセになっているので右肩をさげるよう、体の中心も右寄りになるよう意識して調整する。
◯頭のてっぺんから首、背骨にそって一本筋が通ったように重心がしっかりした動作をこころがける。
・どんな状態でもぐらつかない、どっしりした腰の据わった動作。
◯もっと腰を低く居合腰になる。
・前に出る時はもちろん、後ろに下がる時も重心をくずさないように足を引き、ゆっくりひいた足が着地したところに重心を移していく。
頭の位置もふらふら動かない、ネコのしぐさような優雅な体重移動をめざす。
◯切り下ろす時、常にもっと頭上に大きめに振りかぶるよう意識する。
・せっかくの技が小さくなってしまってはもったいない。
・頭上で刀を止めないで流れるように、ん~、ん!の呼吸で切り下ろす。この時、柄を頭上で握り直さない。はじめから小指がしっかり決まる位置で握ること。
・箒で天井をはくように切っ先を放り出すようなつもりで振りおろす。
◯ガサツな演武をしない。現時点での自分にできる最良の間合いの居合となるように仕上げ、大会に臨むこと。
・袈裟切りなどの切り上げ切り下ろし時の技の返しはシャープでスピーディにおこなうこと。
・納刀前、いち・にー・さん!と、間をおく。
・鯉口に刀の切っ先を誘い込むまでは素早く、納刀時には残心をしめしながらゆっくり鞘に刀をおさめていく。
・いつでもまた刀が抜けるスキの無さでゆっくり納刀する。
・キレのある素早さと抜け目の無いゆっくりした動作で、メリハリをつけながらも、演武中の流れの糸を途切れさせないように集中を持続させること。
◇大会用メニュー(自分のチェックポイント)
1.初発刀(古流)
着座も古流なのか、確認すること。
鞘引きしながらヘソ前から刀を抜きつける。
大血振りは「ん~ん、んっ!」と、とぎれなくおこなう。
モモの内がわに力を入れて突っ張らせるように立ち上がる。
いつも肚に意識をおき、切っ先に責めの力を込めて演武する。
2.柄当て(四本目)
柄をつかむと同時にみぞおち辺りから体をつりあげるようにして膝を立てる。
柄当ては体の中心から突くこと。
横血振りは水平に。
納当時の足ひきも早すぎるので意識してゆっくり残心を示す。
3.袈裟切り(五本目)
切り返しスピーディーに。袈裟に切る位置を正確に意識すること。
後退しながらの血振りを正確におこなうこと。
4.諸手突き(六本目)
後ろ前の切り下し時の足さばき、重心の移動を正確に。
5.抜き打ち(十二本目)
胸から逃げる意識で抜き上げる。
抜いた刀は頭上で手の内をきかせ素早く次のカタチにすること。
敵の刀をかわし振り下ろした後に切り下ろせるように間をつくること。
これもメリハリが表現できるかがポイント。
——————————————-
生前のT師匠から言われて印象的だった言葉があります。
まだ居合修練をはじめて間もない自分がなにかのおりに、「まだはずかしいから人に演武を見せられない」と消極的な発言をしてしまい、こりゃ来るなあと思っ たら、やはり師匠に『はずかしいとはどういう了見だ!初段は初段なりの、弐段は弐段なりの居合をやれば良いのだ。うまく見せたいのは自分の我(が)だ!』と叱られ ました。
人前での演武も大切な修業、自分を磨く大事な修練なのでしょうね。
人の目が鏡となり自分の演武を客観的に知ることにもつながります。
大会ではへたはへたなりの…現時点での自分の居合をムネをはって演武する所存です。
剣禅話
山岡鉄舟 剣禅話を読む。
シンプルなのに骨太なメッセージがつまった本でした。
自分の器が計られる思いがした。
自分もそうそう同じパターンの過ち(うず)にばかり巻き込まれてもいられない。
講師業や居合の修練から得られる気付きも、けっきょくのところ、
なんのための修養なのだろうかとこの本を鏡に反省をさせていただいた。
因果に振り回されるばかりの凡愚を脱し、自分自身が辛苦して玉の汗にまみれてのち手に入れるべきものを手にする。
それは決して他から受け取るようなものではない。
迂闊なおめでたさをひたすらそぎ落とすような修養と修練を貫くことでしか達成できない境地であろう。
鉄舟師の体現したという己の内なる森羅万象を統治する『心の王』とシンクロするという表現に惹き付けられる。
『自分の内なる宇宙の王になることが自分を治めること』というような、強くてシンプルな表現力を見習いたい。
そのためにも自分に与えられている本分をしっかり自覚せよ。
これを妙道とし、尊信することで、大いに踏ん張って本業を極めるべし。
自分の中にこそ追い求めるべき道も光明もあるのだ。
そういう骨太なメッセージとして受け止めることができた。
剣禅話
山岡鉄舟 剣禅話を読む。
シンプルなのに骨太なメッセージがつまった本でした。
自分の器が計られる思いがした。
自分もそうそう同じパターンの過ち(うず)にばかり巻き込まれてもいられない。
講師業や居合の修練から得られる気付きも、けっきょくのところ、
なんのための修養なのだろうかとこの本を鏡に反省をさせていただいた。
因果に振り回されるばかりの凡愚を脱し、自分自身が辛苦して玉の汗にまみれてのち手に入れるべきものを手にする。
それは決して他から受け取るようなものではない。
迂闊なおめでたさをひたすらそぎ落とすような修養と修練を貫くことでしか達成できない境地であろう。
鉄舟師の体現したという自分の内なる森羅万象を統治する『心の王』とシンクロするという表現に惹き付けられる。
『自分の内なる宇宙の王になることが自分を治めること』というような、強くてシンプルな表現力を見習いたい。
そのためにも自分に与えられている本分をしっかり自覚し、これを妙道として尊信することで、大いに踏ん張って本業を極めるべし!
自分の中にこそ追い求めるべき道も光明もある。
そういう骨太なメッセージとして受け止めることができた。
努力賞をいただく
11月23日は綾瀬の東京武道館で開催された第14回 関東甲信越居合道大会に参加してきました。
東京、神奈川、山梨、栃木、茨城、埼玉、群馬、新潟までにまたがる県から選手がぞくぞく集まり、参加人数は1000人を超えていたようでした。
昨年初段での参加時には一回戦であっさり敗れてしまった個人戦でしたが、今年は5人同時の対戦形式の演武で二回戦に進むことができました。
この大会の個人戦は決勝戦のようなカタチでは無く5人同時に対戦後、勝ち抜いた者どうしの5人でまた演武対戦し、結果を審査員が審査した後、各賞が授与される形式でした。
結果、二段の部の個人戦で努力賞をいただけました。
二回戦に進んだらもらえる賞ということで。
素直に嬉しかったです。
思えばこの秋にかけて参加した大会では成績が振るいませんでした。
多摩大会では三回戦まで進んで三位決定戦で敗れ、八王子大会ではまたしても初戦から昨年度優勝者と当たり判定二対一で敗れました。
くすぶった気分で「どうにも勝ち進めません、自分にはナニが足りないんでしょうか…」と師にもらした時に、『勝とうとか、いい格好を見せようと するんじゃなく、日頃の稽古を素直に出せるように、ただそれだけを思って稽古を続ければ良い!自分の技を練り上げ、精度を上げていく、ただそれだけでしょ。』『私もよくそうやって欲を出しては師匠に叱られてた!(笑)』との言葉をいただきました。
「ああそうでありました!絵の道ともおんなじ…」と腑に落ちるものがあり、これまでよりも少しは雑念 も振り払われた状態で稽古を続けられました。
そしてこの大会にも臨むことができたように感じています。
今回も演武中に失敗をいっぱいしましたが、こういう大舞台で演武することにも場数をふんで慣れていく、あたりまえのこととして受け止めていく。
そういうことに意味があるのだと途中で気持ちも切り替えることができました。
大舞台にも慣れることで、いちいちおたおたあたふたとしなくなる。
まずはそれが大事だなと。
なににつけても我が出過ぎるのは美しくないのだ。
卑屈なひねこびた謙虚さも然り。
わかっちゃいるけど、にんげんですもの。
欲や不安が吹き出物のようにことあるごとにでてきちゃいます。
ふりはらっても、ふりはらっても。
兄弟弟子のK氏は、日頃の稽古の成果なんだから胸はっていいんですよ、と励ましてくださった。
多摩大会では決勝まで進んだK氏でしたが、今回は同じ段位の別トーナメントで演武し、自分だけ二回戦に進めました。
打ち上げ会でご報告をさせていただき、師匠もとても喜んでくださいました。
いろいろしんどいこともあるけど吹き飛ぶ瞬間でした。
これからも仕事に居合に励んでいこうと思えます。
こういうご褒美もあるから続けていけるんですね。
感謝です。
審査
9月12日の審査で無事合格し弐段に昇段できました。
はじめの刀礼や技など際どい場面もありましたが…
なんとか持ち直せてよかったです。
上せてしまわないよう肚に意識が座るようにイメトレしながら臨みました。
合格できて素直に嬉しいです。
稽古ではいつも懇切丁寧にご指導してくださったY先生に心より感謝いたします!!!
自分への褒美に稽古に使う刀の替え鞘をちゃっかり購入しました♪
大会
居合の大会は一回戦負けでした。
大会の後のおつかれさま会では沖縄料理のお店へ。
Y先生が自分の居合を『安心して見ていられた』と言ってくださる。