咲く

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突然の依頼で、自分が非常勤で勤める、学校の居合道部の団旗デザインをやりました。
現状の内にベストを尽くさせていただきました。
本当は手書きの文字を高解像度でスキャンして使いたかった。
それが悔やまれるところですが、精いっぱいの形にさせていただきました。
ところで6日の日曜は、2週間ぶりに稽古にいってきました。
勉強熱心な兄弟子K氏からいろいろアドバイスを受けながら稽古ができました。
定期的に外部の稽古会に参加しているK氏がそこで聞いてきたという印象に残る話をしてくれました。
昇段審査前の指導内容です。
ほとんどが技前の指導よりも、演武時の心の内と有り様の話だったようです。
居合にはその人の人生が出るということです。
落ち着きの無いガサガサした所作であったり、マイペースでもったいつけたように間延びしていたり、大見得を切るような芝居がかったのや、小さな躓きが尾を引くような縮こまった所作だったり…
その人の送ってきた人生や価値観、性格などの人間性が滲み出てしまうものなのかもしれません。
居合の昇段審査は減点方式なのだという。
五段六段の段位取得の審査を例にとると…
着装の乱れの有無、入場時の態度と気構え、刀礼の作法それまでの段階で全てのチェック項目でダメ出しされて、実際の演武の技前を見てもらう前に合否が決まっていることがほとんどだという話でした。
まだまだ技前にこだわる時期の自分には正直驚きでしたが、腑に落ちることだらけです。
いずれはその境地で修練していくことになるのだと。
審査員の先生方は剣先にその人の人生の重みがしっかり乗せられているのかを観るとまで仰います。
そこに気迫がこもり敵を圧し怯ませるものがあるのだと。
技より人間をみる(見る、視る、観る)。
技をそつなくこなしても、その人の人生が滲み出ていなければ魅力とならない。
内に気が充ちてそれがあふれだすほどに、たたずまいは凛と静かに落ち着いて見えるのだとも形容されていました。
たとえ技前は下手だとしても、人の胸を打つような真摯な居合をされるかたには、それなりの評価がつくのかもしれませんね。
ひるまない威力がその人の人生からも滲み出すように。
みればその人がわかると高段位の先生方は仰るわけですが、それはひっくり返せば、逃げ腰ではない立ち向かっていく態度のことであるのかもしれません。
その演武の場に出てくる前に、やるべきことは充分やりきったという後悔の無い覚悟と自分の肉体の内にゆるぎない気迫を充ち充ちさせて挑むその姿を観るのだと。
その時の実力を出しきる覚悟がその人の現状ベストの力を引き出すのだと。
個性を持って表現すると、クリエーターの世界でも良く言われます。
鬼気迫るように命を投げ出し、今の自分の花を咲かすような覚悟をともなった表現ということをイメージし、僕は岡本太郎さんの生き様を想い浮かべてしまった。
『芸術は爆発だ!』とはみごとな言葉の咲きっぷりじゃないかと再び想えた。
まだその時ではないと逃げ腰に自分の何かを温存する。
しかし、では時と場所と風を得た時に都合良く咲くことはできるのかということです。
まだまだなんだ。
後悔なく覚悟をもって自分を咲かせてみたいものです。
居合修練はまさに日々爆発的に自分を咲かせる稽古をしているのだと思えてきました。