稽古を始めた動機

日本人のきめ細やかで奥ゆかしい意匠であり、古来、武士の魂とまで呼ばれた日本刀。
その鋭い切れ味は、現在でも世界の数ある刀剣の中でも群を抜き、過去諸所の異国からは魔剣として恐れられたといいます。
しかしながら、鞘がその恐ろしい刃を包み、ただ静かな佇まいで黙としている。
刀を使う者の間ではそのあまりの切れ味と残忍な殺傷力から、
ひとたび抜刀し切っ先を相手に向けたならば、互いに死を覚悟し
相手を殺す覚悟も決めねばならないことと認識されていました。
むやみに刀を抜き、相手を脅かすことは疎まれた。
武士に二言はなく、抜いたら相手を殺す。
そして死ぬ覚悟をすでに決めていた。
しかし、本来多くの使い手たちはそんな刃傷沙汰は好まず、
故にその攻撃意思の白刃はしっかり鞘に収めて持ち歩いたわけです。
抜かずに越したことはなかったのです。
そんな日本刀を扱う武道である居合を始めて2ヶ月たちました。
今年1月26日の最初の見学後に書いたメモを元に自分が居合道を始めようと思った動機をまとめてみます。
自分の精神的な脆さを感じながら身辺に起こる出来事に一喜一憂する日々から
人間的な強さを身につけたいと強く思うようになっていました。
継続した修行に適した武道として居合道に興味を感じていました。
また、自分が日本人として生まれながら、日本人が培ってきた文化を知らないのは、勿体ないと感じていました。
日本刀を腰に帯び、精神を集中、自己の全てを清めんとする精動一如の境地こそが居合道の至極と聞きます。
刀の握り方、抜刀、納刀の仕方、身体の使い方などの美しさ。
これらの魅力的で美しい作法を日本の文化として学んでみたい。
自分の身体と魂に染み込ませたい。
以前から剣をあつかう作法などに興味があり学べる機会を求めていました。
インターネットで調べ、自分の住む地域にある産土神社境内の錬成館で稽古を見学させて頂きました。
そこで熱心な稽古の様子を拝見し、即日入会を決心しました。
ご指導くださるT先生とY先生ご夫妻の温かなお人柄の印象が決め手でした。
楽しさと厳しさの両方を、とてもバランス良く兼ね備えられた指導をしてくださると感じました。
自分も若いクリエーターの育成を目的として絵を描く技術や心を伝える仕事をしていますので、大いに参考にさせていただきたいと感じました。
稽古しようと思えば、いつでも稽古出来る道場があり、指導もしていただけるということをとても心強く感じました。
自分はお目出度く、おっちょこちょいな人間です。
しかも、かなり迂闊で軽薄だということも自覚してます。
自分の集中力の無さや詰めの甘さを居合を学ぶことによって少しでも克服し、人間的な成長ができるよう修行に励みたく思いました。
心を磨くまたとない出会いと心得て、日々精進したいと思っています。
「着付け」「目付け」「抜き付け」この三付けと、居合道は「鞘の内にあり」を肝要とし、常日頃から心がけていく所存です。
正しく、心技一体の居合道を求めていきたいと思います。
始めたばかりですので、当面はしっかりと基礎を身につけたいです。
「継続は力なり」の教えを真摯に受け止め一心に稽古すること。
もちろん段位取得も目指して精進したく思っています。